キョンと流人が守る島 八丈島 最終回

3日目。昨日に引き続き晴れ。
東京は雨らしいから日頃徳積んだおかげかしら、とか勝手な事を言いつつ。
また朝からキョンを観に行く。
飼育員さんたちがきれいに清掃してくれている傍でボーッとするキョン。
千葉埼玉じゃ害獣で追われてるってのに幸せなキョンだよ、あんたたちは。
さて、今日は一つを残して全部故障中だった島の温泉のうち、一つが復活したと昨日のダイバーさんから連絡をもらって、オープンから行ってみることに。

路線バスだからいちいち時間かかるけど、急ぐ理由もないのでのんびり向かう。
みはらしの湯という温泉に向かうまでの、みはらし良き道。
この日は歴史民族資料館も行って島の歴史も学んだんだけど、流刑地だった八丈島では血の穢れを嫌って、島に流されてもなお、やらかした罪人は両手縛ってこんな崖っぷちから落としていたそう。
こんな景色を前に罪人はどんな気持ちだったのかしら。
その当時は生類憐みの令とか出てて、軽犯罪でばんばん島送りになる時代だったから、八丈島には極悪非道人が送られてきて荒むというより、逆に手に職のある流人たちが島の暮らしを豊かにした側面もあるそう。
八丈島の有名な芋焼酎も密輸の罪で薩摩から流されて来た人が醸造法を伝授したのは知られた話。
そして「島流し」って言う最高に黒いユーモアの効いた酒があるのは知られていない話。
みはらしの湯。
雷が落ちてタンクの何かが壊れたんだって地元の人に聞く。
風呂上がりはあしたばで。
八丈島は畜産も盛んでジャージー牛がいっぱいいる牧場もある。ジャージー牛は、近代に入るあたりで、流刑地から足洗ってなんかがんばろうぜ!って事でアメリカから仕入れたらしい。
そして美味しいお蕎麦にもあしたばの天ぷらが刺さる。
かの小山薫堂さんがメディアで取り上げたことでこれ目的で島を訪れる人もいるというジャージースイーツたち。
もちろんそんな事は知らずに店に入ったのでジャージー関係ないあしたばシフォンケーキとか食べちゃった私たち。またあしたば。

一応手前はチーズケーキ。
島のいいところは空の抜け感かな。

こうして見ると、ここはテキサスですって言っても分かんないくらいの解放感と一抹の荒涼感。
こうして飛行機の時間までのんびり過ごす。

八丈島に興味を持ったそもそもは、10年くらい前に、八丈島と全然関係ない後輩がミス八丈島になったという事実に由来する。
その土地の代表として公に活動するはずのミスが、特に縁もゆかりもなくて大丈夫なのか…
八丈島のフレキシビリティーというか…

この実際を見てみたくて行ったわけで。

そしたらなんと今年のミスは…



もはや日本人でもない!!!

ここまで3日、八丈島を見て来て感じていた島の包容力というか許容力というかの全てがすとんとまとまった感じがした。
どこぞの害獣も、内地で魔がさしちゃった罪人も、どこの馬の骨ともつかない器量良しのミスも全部まるっと受け入れて共に生きる八丈島。
火山出て来た島故に豊かな土が育たない土地だけど、豊かになろうと外から学び育み自分たちの文化に織り込んで雑味すごいけど優しくて穏やかな島の空気に仕上がったんだろうな。
西南の島々の血の気の多い感じとは少し違う、東京の島、奥深し。
八丈島の旅はこれでおしまい。

旅はつづく。

The Weekend Traveler

時間がなくて旅に出たいけど出られないという人たちにおくる、週末中心の旅行記。個人的な旅の備忘録なので旅行サイトとしては役立たずかも。非日常の音や匂いや光を感じたい方はどうぞ。

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