灼熱の京都旅

一人トラベルしてきました。

休日六本木出勤からの京都。
旅三昧だった日々からの自粛の毎日。
これからもうまいことこの社会と付き合っていく為に自分に褒美を授けることにした。
夕方に着いておしゃれビール屋を目指す途中の小川。
夏の京都は逆ギレしたくなる程に暑いんだけど、川が清涼感をもたらしてくれる。
はい、おしゃれ。

京都のビアシーンはとにかく洗練されてる。

長居すると自分までおしゃれと錯覚しそうだから次なるビール屋へ。
自転車にカゴついてるだけで平和に思えるのってなんでだろう。優しい感じがする。
おしゃれ青天井の京都のビール界。
ミニマルだなんだと言うけども、たくさんの要素をうまくまとめる技量が本物の洒落という気がする。
五條の夕暮れ。
横浜で目覚めて六本木で仕事して夕方この夕暮れに立会えるなんて、久々の遠出ってこともあって感無量。
JRよ、新幹線よ、公共交通機関よ、私を運んでくれた全てにありがとうございますという気持ち。
今回の旅の目的はこちら。
泊まりに来た。
同級生が営むゲストハウスは町屋を改装した古くて新しい素敵な場所。
ここんとこ毎年お世話になってるけども、今年来れたことには感慨ひとしお。
朝起きてここで歯磨きしてるととても贅沢な気分になる。
生温い風とか古いタイルとかひねる蛇口とか都会暮らしだと簡単に手放してしまうものたちがしっかりと守られていてそこに毎回小さく感動する。

宿のおいしいご飯を食べていざ灼熱の散歩へ繰り出す。
ここに来なかったら在宅勤務デイズの中でうっかり入道雲も見ないまま夏を終えていたかもしれない。

河井寛次郎記念館に行ってみた。
民芸家というカテゴリーがあるなら間違いなくそのものという感じの河井寛次郎。

デザイン的にも機能的にも優れていて、それでいて押し付けがましくない美しい民芸品がたくさん。
猫が伸び切って寝てた。
わたしも猫だったらこうなるわって言う静かで平和な空間。
京都の自然とうまく付き合うやり方は学ぶべきところ。邪魔だからなくすんじゃなくて邪魔だったら邪魔じゃない方にやればいいだけの事だ。
窯も使われていた雰囲気が残るかっこよさ。
人の手から生まれる物たちはぬくもりがあって尊い。
しかし灼熱の京都で窯仕事とか考えただけで酸欠なりそう。
「静謐」という言葉がじわっとわいてくるとても静かな空間。
火器もお花もラグも何から何まで渋くて品があって河井寛次郎さんの人となりも見えてくるよう。
釉薬の具合が奇跡みたいな壺。

長年IT産業にぶら下がってるせいか、単にせっかちなせいか、普段から思考回路までもがショートカットになってしまって、これとこれを同時にやれば一気に片付くのにとか、無駄や偶然が悪みたいに思えることもある。

こんな風にDeleteキーも戻るボタンも効かない一発勝負的な作業が作品を左右するなんてとんでもない緊張感。
でも人の期待値を越えるものとか今まで見たことないものってそういうとこから生まれるんだろうな。偶然が生む奇跡みたいのにかけてみる一瞬。

建物も民芸品たちもとても素敵で、携帯カメラのカシャって音がとても野暮に思えたので写真は最低限にして、静かに見て回って、また炎天下を歩いて宿に戻る。
このGojo Guest Houseはカフェも素敵で、地元の人たちがふらりと立ち寄って休憩していく。もてなしもお客さんも誰も何も過剰じゃなくてとても自然。
居心地のよさって一朝一夕で仕上がるもんじゃないしスタッフの努力だけで成り立つもんでもない。いい人たちがたくさん出会った場所なんだろうなと思う。

さて。
旦那さんがカレーばっか作ってるのと在宅ワークの昼休みにできるだけ簡単素早くたくさん栄養取りたいせいでおいしいレトルトカレーを買い漁っている今日この頃。
カレーに対する感度がやたら上がっている。

そんなとこにこのカレー。
色々と新しい美味しさ。味を語るのも料理をするのも得意じゃないから、何がどうというのがわからないけど、美味しいものを食べてる人が作ってる工夫が詰まった味がした。
やはりカレーは奥深い。

休憩して気力が戻ってきたので近くのお寺へ。
京都に住んでた友達が、結構よかったから行ってみたらって言うから行ってみた。
さすが京都のお寺は格が違うねーなんて思いながら、溶けるくらい暑くて中に避難する。
ドコーン。。。
いきなりの風神雷神。

これ。
建仁寺は京都最古の禅寺でたいそう有名なお寺でした…
町の洋食屋だと思って入ったらミシュラン店でしたくらいの衝撃。
いわゆる枯山水というやつもちゃんと見たのは初めてだったかもしれない。
急に立派なお寺に来てしまって戸惑ったけど、お庭やらアートやら現代においても一流の管理がされていて枯山水あたりから芸術鑑賞モードで最終的には最初からこれ目的でした並に満足して出てきた。

ほとんど24時間くらいの京都旅。

どこに行っても消毒、検温して、40度近くの暑さの中、汗でびしょびしょになっても人がいるとこではマスクが外せなくて、その極めてめんどくさい対策をしてでもわたしは旅に出たかった。

この半年、近場を訪れてガス抜きしてきたものの、わたしのじっとしていられる限界値は他の人よりはるかに低い。

旅に出られない中、地元で見出した良いこともたくさんあったし、わたし一人が動いたところでどこの経済もびくとも動かない。

だけどもわたしという人間は物心ついた時から旅することに夢中で、旅を軸に生きてきたようなもんで、だからこれからもこの世の中で生きてくためには、許される範囲で旅人ライフを再開させないといつか爆発する気がしてた。

特にこの半年、今までやってきたことができなくなって、代わりにどうすんの、何やんの、何かないの、とインプットする機会がネットくらいしかないのにアウトプットばっかり求められて、枯渇しそうだった。

今回の旅で、どんだけクリック一つで世界中からなんでも買える時代になっても、その場所の気温や空気感やにおいは届けてくれないことを実感。
24時間で半年分の栄養とったくらい、色々吸収できた気がする。

今までみたいに楽々とはいかないけれど、会いたい人や物や場所に会いに行きたい気持ちは押し込めずにまたいつかのために日々をしっかりやろうという気持ちになった。

明日からまた元気でいれそうです。

おしまい。


The Weekend Traveler

時間がなくて旅に出たいけど出られないという人たちにおくる、週末中心の旅行記。個人的な旅の備忘録なので旅行サイトとしては役立たずかも。非日常の音や匂いや光を感じたい方はどうぞ。

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